「市寸島比売命はどこの神社に祀られているの?」
「厳島神社と宗像大社、それぞれどんな歴史や特徴があるのだろう…」
と疑問に思っている方もいるのではないでしょうか。
市寸島比売命は、世界文化遺産の厳島神社・宗像大社をはじめ、全国各地の神社で祀られている女神です。
この記事では、市寸島比売命ゆかりの神社を訪れたい方に向けて、
– 広島・厳島神社の創建・社格・建築様式と平清盛との関わり、拝観料・アクセス
– 福岡・宗像大社(辺津宮・中津宮・沖津宮)の立ち入り規制と世界遺産としての価値、拝観料・アクセス
– 神奈川・江島神社の歴史と龍神伝説、拝観料・アクセス
– 京都・松尾大社や各地の市杵島神社、拝観料・アクセス
上記について、解説しています。
神社の背景を知ることで、実際の参拝がより一層感慨深いものになるはずです。お出かけの予定を立てる際にぜひ参考にしてください。
目次
- 市寸島比売命ゆかりの神社の広がり
- 広島・厳島神社(安芸の宮島)
- 福岡・宗像大社(辺津宮・中津宮・沖津宮)
- 神奈川・江島神社と江の島信仰
- 京都・松尾大社や各地の市杵島神社
- 日本三大弁財天を比較する
- 神社参拝に関するよくある質問
- まとめ:市寸島比売命ゆかりの神社を巡ろう
- 参考文献・出典

市寸島比売命ゆかりの神社の広がり
市寸島比売命(いちきしまひめのみこと)からのご利益を授かりたいと考えているなら、全国各地にある有名な神社へ実際に足を運んでみましょう。
なぜなら、古くから厚い信仰を集めてきた格式高い神社を参拝することで、より深い神聖な空気を肌で感じることができるからです。海や川などの美しい水辺に囲まれた境内をゆっくりと歩けば、日々の忙しさで溜まった疲れも自然と癒やされることでしょう。
具体的には、世界文化遺産にも登録されている広島県の嚴島神社が最もよく知られています。海に浮かぶ朱色の大鳥居が織りなす幻想的な景色は、国内外を問わず多くの参拝客を魅了してやみません。ほかにも、交通安全の守護神として有名な福岡県の宗像大社や、関東屈指の観光地でもある神奈川県の江島神社など、歴史ある名社が多数存在しています。神名の由来や誕生神話について詳しく知りたい方は「市寸島比売命とは?神話における役割と名前に込められた意味を徹底解説」もあわせてご覧ください。
広島・厳島神社(安芸の宮島)

| 拝観料 | 大人300円・高校生200円・小中学生100円 |
|---|---|
| 拝観時間 | 6:30〜17:00(季節により18:00頃まで延長) |
| アクセス | JR広島駅から山陽本線で「宮島口駅」まで約30分→宮島口桟橋からフェリーで約10分→宮島桟橋から徒歩約10〜15分 |
| 所要時間の目安 | 参拝のみ30分、周辺散策を含めると1.5〜2時間 |
広島県廿日市市に鎮座する厳島神社は、市寸島比売命を主祭神として祀る国内屈指の由緒ある聖地です。推古天皇元年(593年)に佐伯鞍職(さえきのくらもと)によって創建されたと伝えられており、平安時代中期の『延喜式神名帳』では「安芸国佐伯郡 伊都伎嶋神社」として名神大社に列し、安芸国一宮としての社格を誇りました。
平清盛による造営と寝殿造りの社殿
平安時代末期、神主・佐伯景弘と当時の安芸守であった平清盛の結びつきをきっかけに、厳島神社は平家一族から厚い崇敬を受けるようになります。仁安3年(1168年)頃、平清盛は平安時代の貴族の邸宅建築様式である「寝殿造り」を大胆に取り入れ、海上に社殿を築くという独創的な発想で、現在の壮麗な姿へと大規模な改修を行いました。宮島という島そのものが神聖なご神体とされてきたため、畏れ多くて陸地を避け、波打ち際に社殿が建てられたという特別な歴史的背景を持つ神社です。社殿はその後2度の火災で全焼したものの、仁治年間(1240〜1243年)以降に再建され、現在に至ります。
両部鳥居と国宝の建造物群
海上に立つ朱塗りの大鳥居は「両部鳥居(りょうぶとりい)」と呼ばれる形式で、本体の柱を支えるために「稚児柱(ちごばしら)」という控えの柱が前後に組み合わされているのが特徴です。潮の満ち引きによって、鳥居や社殿が海に浮かんでいるように見える神秘的な景観は、1996年の世界文化遺産登録の大きな理由のひとつとなりました。境内の建造物のうち6棟(本社本殿・幣殿・拝殿、本社祓殿、摂社客神社本殿・幣殿・拝殿、摂社客神社祓殿、東廻廊、西廻廊)が国宝に、能舞台や反橋、大鳥居、五重塔など11棟3基が国の重要文化財に指定されています。現在でも年間400万人を超える参拝者が国内外から訪れ、熱心に祈りを捧げる姿が見られます。
福岡・宗像大社(辺津宮・中津宮・沖津宮)

| 拝観料 | 境内参拝は無料(神宝館は大人800円・高大生500円・小中学生400円) |
|---|---|
| 拝観時間 | 境内自由(神宝館9:00〜16:30、最終入館16:00) |
| アクセス | JR鹿児島本線「東郷駅」から西鉄バスで約15〜20分「宗像大社前」下車すぐ |
| 所要時間の目安 | 辺津宮の参拝のみ30分、神宝館見学を含めると1.5時間 |
福岡県宗像市に鎮座する宗像大社は、全国に約6200社ある宗像神社や厳島神社の総本宮として広く知られています。こちらの神社は、本土にある「辺津宮」、大島に位置する「中津宮」、玄界灘に浮かぶ沖ノ島の「沖津宮」という三宮で構成されるのが大きな特徴です。市寸島比売命は、このうち最もアクセスしやすい本土の辺津宮に主祭神として大切に祀られています。
辺津宮|本殿・拝殿は国指定重要文化財
宗像大社の中心的な神社である辺津宮は、本殿と拝殿が国の重要文化財に指定されています。広大な境内には高宮祭場(たかみやさいじょう)があり、沖ノ島の祭祀の原形とも言われる、社殿を持たない古代さながらの露天祭祀の雰囲気を今に伝えています。境内の神宝館では、後述する沖ノ島から出土した約8万点の国宝を見学することが可能です。古くから天照大神の神勅を受けた「道主貴(みちぬしのむち)」と呼ばれ、国家の守護神として歴代の天皇からも厚い信仰を集めてきました。
中津宮|大島に鎮座する多岐津姫命の社
神湊港からフェリーで約25分の大島に鎮座する中津宮には、市寸島比売命の姉妹神である多岐津姫命が祀られています。境内には、沖ノ島を望むことができる「沖津宮遙拝所」も設けられており、一般の参拝者はこちらから沖津宮を拝むことができます。
沖津宮(沖ノ島)|厳格な立ち入り規制と「海の正倉院」

玄界灘のほぼ真ん中に浮かぶ沖ノ島に鎮座する沖津宮には、長女の田心姫命が祀られています。島全体が国の天然記念物・国の史跡に指定されている、住人のいない神聖な島です。「女人禁制」「一木一草一石たりとも持ち出してはならない」「島で見聞きしたことを一切口外してはならない(不言様)」といった厳格な禁忌が、古代から現代まで守られてきました。世界遺産登録以前は毎年5月27日の大祭に限り抽選で選ばれた約200名の男性のみ上陸が許されていましたが、遺産保護の観点から2018年以降は研究者らを除く一般人の上陸が全面禁止となっています。
島内では4世紀後半から9世紀にかけての祭祀遺跡がほぼ手つかずの状態で発見されており、出土した約8万点の遺物はすべて国宝に指定されていることから、「海の正倉院」とも称されています。こうした学術的価値の高さと、古代からの信仰形態が現在までほぼ手つかずで継承されている点が評価され、2017年に「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」としてユネスコの世界文化遺産に登録されました。
なお、宗像大社は昭和32年(1957年)に日本で初めて車内専用の交通安全のお守りを授与した神社としても知られ、船だけでなく陸上や航空を含めたあらゆる「道」の安全を守る神様として、現代のドライバーからも厚い支持を集めています。
神奈川・江島神社と江の島信仰

| 拝観料 | 境内参拝は無料(奉安殿拝観料は大人200円・中高生100円・小学生50円) |
|---|---|
| 拝観時間 | 奉安殿8:30〜16:30頃 |
| アクセス | 小田急江ノ島線「片瀬江ノ島駅」から徒歩約15分、または江ノ島電鉄「江ノ島駅」から徒歩約20分 |
| 所要時間の目安 | 辺津宮・中津宮・奥津宮を巡る「三社参り」で約1.5〜2時間 |
神奈川県藤沢市に位置する江島神社は、日本三大弁財天の一つとして全国から多くの参拝者が訪れる有名なパワースポットです。島内には「辺津宮」「中津宮」「奥津宮」という3つの御社が鎮座しており、市寸島比売命は一番手前に建つ辺津宮でお祀りされています。旧社格は県社で、宗像三女神を総称した「江島大神」として、奥津宮に多紀理比賣命、中津宮に市寸島比賣命、辺津宮に田寸津比賣命がそれぞれ祀られています(社殿によって配祀は異なる伝承もあります)。
創建552年、源頼朝ゆかりの弁財天信仰
この地における信仰の歴史は古く、社伝によれば欽明天皇13年(552年)に、天皇の勅命によって島の洞窟(現在の岩屋)に神様を勧請したのが始まりと伝えられています。当初は海の守護神として崇敬を集めていたものの、寿永元年(1182年)に源頼朝の命により、僧・文覚(もんがく)が岩屋に弁財天を勧請したことをもって、実質的な創建とする説もあります。以降、歴代の鎌倉幕府将軍・執権や小田原北条氏、江戸幕府からも篤く敬われ、江戸時代には芸能上達や福徳財宝を願う「江の島詣」が大流行しました。
龍宮造の瑞心門と五頭龍伝説
島の入り口付近には、経年で青くなった柱に力強い蓑亀(みのがめ)が刻まれた青銅の鳥居が立ち、参道を進むと龍宮城を模した「龍宮造」の楼門・瑞心門が参拝者を出迎えます。境内には弁財天の化身とされる龍神伝説が息づいており、「銭洗白龍王」のご神水で硬貨を洗って金運向上を祈願する参拝客の姿は絶えません。
島の対岸にある龍口明神社(りゅうこうみょうじんじゃ)には、江の島に舞い降りた天女(弁財天)に恋をし、改心して善神になったと伝わる五頭龍大神が祀られており、江島神社と「夫婦の関係」にある神社として、あわせて参拝する人も少なくありません。龍神・白蛇伝説について詳しくは「市寸島比売命のご利益とは?弁財天との関係と参拝マナーを解説」でも取り上げています。
京都・松尾大社や各地の市杵島神社

| 拝観料 | 境内参拝は無料(庭園・神像館共通拝観料は大人500円・学生400円・子供300円) |
|---|---|
| 拝観時間 | 9:00〜16:00(日曜・祝日は16:30まで) |
| アクセス | 阪急嵐山線「松尾大社駅」下車すぐ |
| 所要時間の目安 | 境内のみ30分、庭園見学を含めると60〜90分 |
京都府京都市西京区に鎮座する松尾大社は、市寸島比売命を主祭神の一柱としてお祀りする代表的な古社です。大宝元年(701年)、渡来系氏族の秦氏(はたうじ)の秦忌寸都理(はたのいみきとり)が、松尾山の磐座(いわくら)に宿る神霊を勧請して社殿を設けたのが始まりと伝えられています。『延喜式』神名帳に記される式内社(名神大社)で、二十二社(上七社)の一社にも数えられ、旧社格は官幣大社という高い格式を誇る神社です。
松尾大社では、市寸島比売命は「中津島姫命」という別名で、酒造の神として名高い大山咋神(おおやまくいのかみ)とともに主祭神として祀られています。現在の本殿は応永4年(1397年)の建造で、切妻造に似た「両流造(りょうながれづくり)」という様式が用いられていますが、この社殿様式は宗像大社・厳島神社・松尾大社の3社だけに見られる「松尾造」とも呼ばれ、市寸島比売命を祀る神社同士の建築的なつながりを感じさせます。
また、松尾大社以外にも、日本全国には市杵島神社という名称の神社や、他の神社の境内社として市寸島比売命が祀られている例が数多く点在しています。これらは主に広島県の厳島神社や福岡県の宗像大社から勧請されたものであり、地域の人々の暮らしに深く根付いているのが特徴です。例えば、滋賀県長浜市に位置する竹生島神社や、奈良県吉野郡の天河大弁財天社なども、市寸島比売命とゆかりの深い神聖な地としてよく知られています。
境内社としての例も豊富です。大阪府大阪市の生國魂神社(いくくにたまじんじゃ)境内にある鴫野神社(しぎのじんじゃ)では、まさに「市寸島比売神」という表記でお祀りされています。ほかにも、埼玉県の菴敷神社や玉敷神社、兵庫県姫路市の廣峯神社、大阪府八尾市の許麻神社など、全国の由緒ある神社の境内で、水辺や池のほとりにひっそりと市杵島姫命(弁財天)が祀られているケースは珍しくありません。皆様がお住まいの地域を少し散策してみれば、川沿いやため池の近くにひっそりと佇む市杵島神社や厳島社に思いがけず出会えるかもしれません。
日本三大弁財天を比較する
市寸島比売命と弁財天が同一視されてきた歴史から、「日本三大弁財天」と呼ばれる神奈川県・江の島(江島神社)、広島県・宮島(厳島神社)、滋賀県・竹生島(都久夫須麻神社・宝厳寺)は、いずれもイチキシマヒメと弁才天の習合が見られる聖地です。
| 神社 | 創建 | 旧社格 | 立地・建築の特徴 |
|---|---|---|---|
| 厳島神社(広島・宮島) | 593年 | 安芸国一宮・名神大社 | 海上に浮かぶ寝殿造りの社殿、両部鳥居 |
| 江島神社(神奈川・江の島) | 552年 | 県社 | 洞窟(岩屋)の弁財天信仰、龍宮造の瑞心門 |
| 都久夫須麻神社・宝厳寺(滋賀・竹生島) | 伝・古代創建 | — | 琵琶湖に浮かぶ島全体が神域 |
三社とも「島」や「水辺」に鎮座しているという共通点があり、市寸島比売命・弁財天がいずれも水と深く結びついた女神であることを物語っています。旅行の計画を立てる際は、この3つの聖地をあわせて巡る「弁天巡り」もおすすめです。
神社参拝に関するよくある質問
厳島神社と宗像大社、どちらを先に参拝すべきですか?
決まりはありませんが、厳島神社は海上安全・芸能・金運を、宗像大社は道主貴として交通安全全般をそれぞれ強く司るとされています。ご自身の願い事に合わせて選ぶか、両方を巡って市寸島比売命への理解を深めるのもおすすめです。
沖ノ島には一般の人も上陸できますか?
いいえ、2018年以降、研究者らを除く一般の人の上陸は全面禁止となっています。大島にある「沖津宮遙拝所」から沖ノ島を望んで拝むか、宗像大社辺津宮の神宝館で出土品を見学する形で信仰に触れることができます。
江島神社の「龍宮造」とはどんな建築様式ですか?
龍宮城をイメージした楼門建築の様式で、江島神社の瑞心門に用いられています。海の彼方にあるとされる龍宮と、弁財天・龍神信仰との結びつきを視覚的に表現した、江の島ならではの意匠といえます。
厳島神社と宗像大社、日帰りで参拝できますか?
それぞれ単独であれば日帰りで参拝可能です。厳島神社は広島市内から電車とフェリーで片道約40分、宗像大社は福岡市内から電車とバスで片道約1時間が目安です。ただし2つの神社は離れているため、同日にまとめて参拝するのは現実的ではありません。旅行の計画に合わせて、どちらか一方をゆっくり参拝するのがおすすめです。
江島神社の三社参りにはどのくらい時間がかかりますか?
辺津宮・中津宮・奥津宮の三社を徒歩で巡る場合、片瀬江ノ島駅から往復で約1.5〜2時間が目安です。江の島エスカー(有料の屋外エスカレーター)を利用すると、高低差のある参道の移動を楽にすることができます。
まとめ:市寸島比売命ゆかりの神社を巡ろう
今回は、市寸島比売命ゆかりの神社を訪れたい方に向けて、
– 広島・厳島神社の創建・社格・建築様式と平清盛との関わり
– 福岡・宗像大社(辺津宮・中津宮・沖津宮)の立ち入り規制と世界遺産としての価値
– 神奈川・江島神社の歴史と龍神伝説
– 京都・松尾大社や各地の市杵島神社
上記について、解説してきました。
市寸島比売命を祀る神社は、それぞれが異なる歴史や建築様式を持ちながら、今も多くの人々の心の拠り所となっています。神社ごとの背景を知っておくことで、参拝がより意味深いものになるはずです。市寸島比売命の神話や名前の由来について詳しく知りたい方は「市寸島比売命とは?神話における役割と名前に込められた意味を徹底解説」を、ご利益について詳しく知りたい方は「市寸島比売命のご利益とは?弁財天との関係と参拝マナーを解説」をあわせてご覧ください。
参考文献・出典
- 國學院大學 デジタルミュージアム「市寸島比売命」
- 嚴島神社 公式サイト
- 宗像大社 公式サイト
- 江島神社 公式サイト
- 松尾大社 公式サイト
- ユネスコ世界遺産センター「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」



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