「日本神話には、どんな神様がいるんだろう」「一覧でまとめて確認したい」という方に向けて、代表的な神々を32項目に整理しました。
本記事は、①分類別の一覧表、②五十音順、③ご利益別という3つの探し方に対応しています。天津神・国津神といった記紀神話の神々と、後世に全国へ信仰が広がった神々、神格化された歴史上の人物を区別して掲載しているので、気になる神様をすぐに見つけられます。
この記事の3つの探し方
神様同士の関係が気になる方へ
「この神様は誰の子?」「天照大御神とのつながりは?」など、神様同士の系譜を知りたい場合は、天照大御神系譜・須佐之男命系譜を図解した家系図の記事もあわせてご覧ください。
この記事を書いているのは
この記事は、島根県雲南市を拠点とするNext Z-one(ネクストゾーン)が制作しています。雲南市は、須佐之男命のヤマタノオロチ退治など出雲神話ゆかりの土地が今も残るエリアです。私たちは地元の史跡を実際に訪ね歩きながら、AI技術で神話の名場面を映像化する取り組みを進めており、その過程で得た知見をもとに本記事を作成しています。
日本神話の神様一覧
「日本神話の神様」とひとくくりにされがちですが、実際には成り立ちが異なる3つのグループに分かれます。まずはこの分類を押さえておくと、後の一覧が格段に理解しやすくなります。
3つのグループの違い
- A.記紀神話に登場する神々:『古事記』『日本書紀』の物語本文に、その誕生や役割が直接記されている神々
- B.後世に信仰が全国へ広がった神々:記紀にも記述はあるものの、物語の登場人物としてよりも、稲荷信仰・住吉信仰のように独立した信仰対象として発展した神々
- C.神格化された歴史上の人物:実在した人物が没後に神として祀られた存在、または「神代」ではなく「人代」の初代天皇
A.記紀神話に登場する神々(26項目)
天地開闢の別天津神・神世七代から、三貴子、天津神、国津神、宗像三女神まで、『古事記』『日本書紀』の物語本文にもとづく神々です。
| 神様のお名前(読み) | 系統 | 主な役割・特徴 |
|---|---|---|
| 天之御中主神 あめのみなかぬしのかみ | 別天津神 | 宇宙の中心に位置する最初の神 |
| 高御産巣日神 たかみむすびのかみ | 別天津神(造化三神) | 天地の生成や物事を結びつける神 |
| 神産巣日神 かみむすびのかみ | 別天津神(造化三神) | 生産や再生の力を司る神 |
| 宇摩志阿斯訶備比古遅神 うましあしかびひこぢのかみ | 別天津神 | 生命の萌芽を象徴する神 |
| 天之常立神 あめのとこたちのかみ | 別天津神 | 天の秩序を司る神 |
| 伊邪那岐命 いざなぎのみこと | 神世七代 | 国生みを行った父神 |
| 伊邪那美命 いざなみのみこと | 神世七代 | 国生みを行った母神 |
| 迦具土神 かぐつちのかみ | 神世七代(伊邪那美命の子) | 火の神。誕生の際に母の命を奪った |
| 天照大御神 あまてらすおおみかみ | 三貴子 | 太陽神・高天原の統治者 |
| 月読命 つくよみのみこと | 三貴子 | 夜と月を司る神 |
| 須佐之男命 すさのおのみこと | 三貴子 | 八岐大蛇を退治した神 |
| 五十猛神 いそたけるのかみ | 国津神(須佐之男命の子) | 日本各地に木を植えた林業の神 |
| 木花之佐久夜毘売 このはなのさくやひめ | 国津神(大山津見神の娘) | 富士山の女神・安産の神 |
| 猿田彦神 さるたひこのかみ | 国津神 | 天孫降臨を先導した「みちひらき」の神 |
| 思金神 おもいかねのかみ | 天津神 | 天岩戸で活躍した知恵の神 |
| 天手力男神 あめのたぢからおのかみ | 天津神 | 天岩戸を押し開いた力の神 |
| 天宇受売命 あめのうずめのみこと | 天津神 | 天岩戸の前で舞った芸能の女神 |
| 建御雷神 たけみかづちのかみ | 天津神 | 国譲りを成功させた武神 |
| 経津主神 ふつぬしのかみ | 天津神 | 建御雷神と共に国譲りを行った武神 |
| 邇邇芸命 ににぎのみこと | 天津神 | 天孫降臨を果たした神 |
| 大国主神 おおくにぬしのかみ | 国津神 | 出雲の国造りを行った神 |
| 事代主神 ことしろぬしのかみ | 国津神(大国主神の子) | 国譲りに応じた神 |
| 少彦名神 すくなひこなのかみ | 国津神 | 医薬・酒造の神 |
| 大山津見神 おおやまつみのかみ | 国津神 | 山を統括する神 |
| 大宜都比売神 おおげつひめのかみ | 国津神 | 体から食物を生み出した女神 |
| 市杵島姫命 いちきしまひめのみこと | 宗像三女神 | 海の神(後に弁財天と習合) |
B.後世に信仰が全国へ広がった神々(4項目)
いずれも記紀にその名は記されていますが、物語の登場人物としてよりも、地域を越えて独立した信仰対象として広まった点が特徴です。
| 神様のお名前(読み) | 記紀での立ち位置 | 信仰としての広がり |
|---|---|---|
| 八幡神(応神天皇) はちまんしん | 応神天皇と同一視される | 全国の八幡宮で武運・厄除けの神として信仰 |
| 宇迦之御魂神(稲荷神) うかのみたまのかみ | 須佐之男命と神大市比売の子として古事記に登場 | 稲荷信仰として全国の稲荷神社に広がる |
| 綿津見神 わたつみのかみ | 伊邪那岐命の禊で生まれた海の神 | 海人族の間で海上安全の神として信仰 |
| 住吉三神 すみよしさんじん | 伊邪那岐命の禊で生まれた3柱の神 | 住吉信仰として全国の住吉神社に広がる |
C.神格化された歴史上の人物(2項目)
菅原道真と神武天皇は、どちらも実在の人物という点では共通しますが、記紀神話との距離感はかなり違います。
- 菅原道真:平安時代の実在の学者・政治家。記紀神話には一切登場せず、没後に天神として祀られるようになった、AとBのどちらとも異なる存在です。
- 神武天皇:記紀神話にその系譜が明記される、邇邇芸命の子孫。ただし舞台は神々の時代(神代)ではなく、初代天皇として国を治めた時代(人代)であるため、A・Bグループの神々とは章立てが分かれています。
| お名前(読み) | 時代 | 神格化の経緯 |
|---|---|---|
| 菅原道真 すがわらのみちざね | 平安時代の学者・政治家 | 死後の祟りを鎮めるため天神として祀られた |
| 神武天皇 じんむてんのう | 記紀が伝える初代天皇(人代) | 邇邇芸命の子孫。神代と人代をつなぐ存在 |
神様同士の関係を知りたい方へ(再掲)
「この神様は誰の子?」など系譜が気になる方は、日本神話の神様 家系図もあわせてご覧ください。
五十音順早見表|名前から探す
神様の名前は分かるけれど、読み方や詳しい内容を忘れてしまった――そんなときは、こちらの五十音順の表からも探せます。
| 読み(カナ/ひらがな) | 神様の名前 |
|---|---|
| アマテラスオオミカミ(あまてらすおおみかみ) | 天照大御神 (あまてらすおおみかみ) |
| アメノウズメノミコト(あめのうずめのみこと) | 天宇受売命 (あめのうずめのみこと) |
| アメノタヂカラオノカミ(あめのたぢからおのかみ) | 天手力男神 (あめのたぢからおのかみ) |
| アメノトコタチノカミ(あめのとこたちのかみ) | 天之常立神 (あめのとこたちのかみ) |
| アメノミナカヌシノカミ(あめのみなかぬしのかみ) | 天之御中主神 (あめのみなかぬしのかみ) |
| イザナギノミコト(いざなぎのみこと) | 伊邪那岐命 (いざなぎのみこと) |
| イザナミノミコト(いざなみのみこと) | 伊邪那美命 (いざなみのみこと) |
| イソタケルノカミ(いそたけるのかみ) | 五十猛神 (いそたけるのかみ) |
| イチキシマヒメノミコト(いちきしまひめのみこと) | 市杵島姫命 (いちきしまひめのみこと) |
| ウカノミタマノカミ(うかのみたまのかみ) | 宇迦之御魂神 (うかのみたまのかみ) |
| ウマシアシカビヒコヂノカミ(うましあしかびひこぢのかみ) | 宇摩志阿斯訶備比古遅神 (うましあしかびひこぢのかみ) |
| オオクニヌシノカミ(おおくにぬしのかみ) | 大国主神 (おおくにぬしのかみ) |
| オオゲツヒメノカミ(おおげつひめのかみ) | 大宜都比売神 (おおげつひめのかみ) |
| オオヤマツミノカミ(おおやまつみのかみ) | 大山津見神 (おおやまつみのかみ) |
| オモイカネノカミ(おもいかねのかみ) | 思金神 (おもいかねのかみ) |
| カグツチノカミ(かぐつちのかみ) | 迦具土神 (かぐつちのかみ) |
| カミムスビノカミ(かみむすびのかみ) | 神産巣日神 (かみむすびのかみ) |
| コトシロヌシノカミ(ことしろぬしのかみ) | 事代主神 (ことしろぬしのかみ) |
| コノハナノサクヤヒメ(このはなのさくやひめ) | 木花之佐久夜毘売 (このはなのさくやひめ) |
| サルタヒコノカミ(さるたひこのかみ) | 猿田彦神 (さるたひこのかみ) |
| ジンムテンノウ(じんむてんのう) | 神武天皇 (じんむてんのう) |
| スガワラノミチザネ(すがわらのみちざね) | 菅原道真 (すがわらのみちざね) |
| スクナヒコナノカミ(すくなひこなのかみ) | 少彦名神 (すくなひこなのかみ) |
| スサノオノミコト(すさのおのみこと) | 須佐之男命 (すさのおのみこと) |
| スミヨシサンジン(すみよしさんじん) | 住吉三神 (すみよしさんじん) |
| タカミムスビノカミ(たかみむすびのかみ) | 高御産巣日神 (たかみむすびのかみ) |
| タケミカヅチノカミ(たけみかづちのかみ) | 建御雷神 (たけみかづちのかみ) |
| ツクヨミノミコト(つくよみのみこと) | 月読命 (つくよみのみこと) |
| ニニギノミコト(ににぎのみこと) | 邇邇芸命 (ににぎのみこと) |
| ハチマンシン(はちまんしん) | 八幡神(応神天皇) (はちまんしん) |
| フツヌシノカミ(ふつぬしのかみ) | 経津主神 (ふつぬしのかみ) |
| ワタツミノカミ(わたつみのかみ) | 綿津見神 (わたつみのかみ) |
ご利益から探す神様たち
「学問成就の神様を知りたい」「商売繁盛のご利益がある神様は?」など、願い事から神様を探したいときはこちらをご利用ください。1柱が複数のご利益にまたがる場合もあります。
⚠️ ご利益をご覧になる際のポイント
ここで挙げるご利益の多くは、神話本文に書かれた直接的な役割そのものではなく、「後世の信仰」「神社での祀られ方」「他の神との習合」を通じて形づくられてきたものです。例えば、商売繁盛の「事代主神」は神話の国譲りでその役割を果たしたのではなく、のちに「えびす信仰」と結びついた結果です。神話上の本来の役割は個別の神様解説を、現在のご利益は以下の分類をご参照ください。
- 学問成就・合格祈願:思金神(神話の知恵の役割)、菅原道真(後世の天神信仰)
- 縁結び・夫婦円満:伊邪那岐命・伊邪那美命(神話の夫婦神としての役割)、須佐之男命(櫛名田比売との婚姻譚)、大国主神(数々の恋物語と出雲大社の信仰)、市杵島姫命(後世の弁財天習合・美の信仰)
- 商売繁盛・金運:大国主神(大黒天との習合)、事代主神(後世のえびす信仰)、宇迦之御魂神(稲荷信仰の広がり)、市杵島姫命(財宝を司る弁財天との習合)
- 武運長久・勝負運:建御雷神・経津主神(神話の国譲りを担った武神)、天手力男神(岩戸を開いた力の神としての神話的役割)、八幡神(応神天皇)(武士層による後世の武神信仰)
- 安産・子授け:伊邪那美命(神話での多数の神産み)、木花之佐久夜毘売(烈火の中での出産神話と浅間信仰)、綿津見神(海幸彦・山幸彦の誕生にまつわる神話)
- 病気平癒・健康長寿:少彦名神(医薬・医療を整えた神話の役割)、宇摩志阿斯訶備比古遅神(生命の萌芽を象徴する神話的意味)、神産巣日神(蘇生神話に関わる生産・再生の力)
- 開運招福・厄除け:天之御中主神(宇宙の根源的信仰)、天照大御神(最高神としての信仰)、須佐之男命(厄神を払う祇園信仰)、天手力男神(力による厄払い)、八幡神(応神天皇)(総合的な守護神としての後世の信仰)、猿田彦神(みちひらきの信仰)
- 海上安全・航海安全:月読命(夜の秩序と海運の結びつき)、綿津見神(海の神としての神話的役割)、住吉三神(海人族による航海守護の信仰)、事代主神(海の神・漁業の神としてのえびす信仰)
- 山・自然・林業:大山津見神(山を統括する神話の役割)、五十猛神(全国に樹木を植えた神話の役割)
- 芸能・音楽の上達:天宇受売命(岩戸の前で踊った神楽のルーツとなる神話)、市杵島姫命(音楽や弁舌の神である弁財天との習合)
- 五穀豊穣・食物安全:邇邇芸命(天孫降臨で稲穂を授かった神話)、大宜都比売神(体から食物を生み出した神話)、宇迦之御魂神(稲荷信仰による農業神としての広がり)
- 交通安全・みちひらき:猿田彦神(ニニギの降臨を先導した神話と道祖神信仰)
- 火防・防災:迦具土神(火の神としての神話的由来)
- 国土安泰・皇統:天之御中主神・天之常立神(天地開闢の根源)、神武天皇(初代天皇としての歴史的・神話的位置づけ)
日本神話とは?八百万の神々が織りなす世界観

日本神話は、古代日本の文化や信仰を反映した神々の物語です。自然現象や人々の生活に密接に関わり、神々の役割やエピソードを通じて日本人の価値観や世界観を表現してきました。中心となるのは712年編纂の『古事記』と720年完成の『日本書紀』で、天地開闢から国生み、天岩戸、国譲り、天孫降臨までの物語が記されています。
天津神と国津神という二つの系譜
天津神は、高天原にいる神々、または高天原から地上に降り立った神々です。天照大御神や邇邇芸命が代表格です。国津神は、地上(葦原中国)で生まれた、あるいは地上を拠点とする神々で、大国主神が代表格です。この二つの系譜は、日本神話の中で天と地の関係を象徴しています。
ただし、この二分法だけで割り切れない例もあります。須佐之男命は高天原で生まれた神ですが、その乱暴な振る舞いから追放され、地上(出雲)を舞台に活躍するため、天津神・国津神のどちらに分類するかは資料によって説明が分かれます。「天にいるか地上にいるか」は大枠の目安として捉え、個々の神の出自やエピソードもあわせて確認することをおすすめします。
日本人が古来大切にしてきたアニミズム信仰
八百万(やおよろず)は、文字通り800万という数を指すのではなく、「非常に数多くの」という意味の慣用的な表現です。八百万の神とは、この「数えきれないほど多くの神々」を指す言葉で、山・川・木・石をはじめ、あらゆる自然物や事象に神性を見出す日本の信仰のあり方と結びつけて語られます。ただし、これは日本神話の物語内容そのものというより、日本人の自然観・信仰観を表す言葉として理解するのが適切です。
天地開闢に登場する別天津神と神世七代の一覧
天地開闢(てんちかいびゃく)は、日本神話における宇宙の創造を指します。この時期に登場する神々は、別天津神(ことあまつかみ)と神世七代(かみよななよ)と呼ばれ、宇宙の秩序を整え、後の神々の誕生と日本文化の基礎を築きました。
造化三神(天之御中主神・高御産巣日神・神産巣日神)
造化三神は、天地開闢の際に最初に現れた3柱です。天之御中主神は宇宙の中心に位置し、全ての始まりを象徴する神。高御産巣日神と神産巣日神は、天地の生成や物事を結びつける力を持つ神です。三柱とも記紀の冒頭でごく短く紹介されるのみで姿を消しますが、その簡潔さゆえに宇宙創造の根源的な神秘を象徴する存在として位置づけられています。高御産巣日神・神産巣日神それぞれの詳しい神話や大国主命の蘇生神話との関わりは、高御産巣日神まとめ・神産巣日神まとめで解説しています。
宇摩志阿斯訶備比古遅神と天之常立神
宇摩志阿斯訶備比古遅神(うましあしかびひこぢのかみ)は、天地がまだ定まらない混沌の中から現れた神で、「美しい葦の芽が生える」という意味の名を持ち、生命の萌芽を象徴します。天之常立神(あめのとこたちのかみ)は、天地が初めて分かれた際に出現した、天の秩序を司る神です。
国生みを担った伊邪那岐命と伊邪那美命

伊邪那岐命(いざなぎのみこと)と伊邪那美命(いざなみのみこと)は、天浮橋(あめのうきはし)から矛で海をかき混ぜ、滴り落ちた塩から島々を生み出した創造神です。その後も日本の主要な島々と多くの神々を生みますが、伊邪那美命は火の神・迦具土神を産んだ際の大火傷がもとで命を落とします。伊邪那岐命は妻を追って黄泉の国へ向かうものの、その姿を見て逃げ帰り、行った禊(みそぎ)から天照大御神・月読命・須佐之男命の三貴子をはじめ多くの神々が生まれました。
国生みや黄泉の国訪問の詳しい神話、禊で生まれた神々の系譜は伊邪那岐命まとめ、伊邪那美命の物語は伊邪那美命まとめで解説しています。伊邪那美命の命を奪った火の神・迦具土神については迦具土神まとめもご覧ください。
日本神話の中心を担う三貴子(三貴神)の役割
三貴子(三貴神)は、天照大御神・月読命・須佐之男命の三柱です。伊邪那岐命が黄泉の国から戻り禊を行った際、最後に生まれた特に重要な神々とされ、それぞれ太陽・夜(月)・海原を司るとされています。ただし須佐之男命が治めるとされた領域は、『古事記』では海原、『日本書紀』の異伝では根の国や天下など、文献によって記述が異なる点には注意が必要です。
太陽を司る最高神・天照大御神

天照大御神(あまてらすおおみかみ)は、高天原(たかまがはら)を治める太陽神です。伊邪那岐命と伊邪那美命の子で、三貴子の一柱。最も有名なのが、弟・須佐之男命の乱暴に耐えかね天岩戸(あまのいわと)に隠れ、世界が闇に包まれた「岩戸隠れ」の物語です。天宇受売命の踊りをきっかけに他の神々が協力し、天照大御神を岩戸から引き出しました。
岩戸隠れをはじめ、国生みから天孫降臨まで日本神話全体の流れを通して読みたい方は、日本神話のあらすじをまとめた記事もあわせてご覧ください。
天照大御神は伊勢神宮内宮に祀られ、日本人にとって心の拠り所とされてきました。伊邪那美命や天宇受売命、大宜都比売神など、日本神話に登場する女神たちについては、女神一覧の記事でも詳しく解説しています。
夜と月を治める月読命

月読命(つくよみのみこと)は、天照大御神の弟にあたる、夜と月を司る神です。三貴子の中でも記紀に語られるエピソードが極端に少なく、月の満ち欠けを通じて時間の移り変わりを象徴する、謎の多い存在として知られています。全国に鎮座する月読神社の中でも、京都府の月読神社が有名です。
荒ぶる海原の神・須佐之男命

須佐之男命(すさのおのみこと)は、天照大御神の弟で三貴子の一柱。高天原で乱暴を働いて追放される一方、出雲では八岐大蛇(やまたのおろち)を退治し、櫛名田比売(くしなだひめ)を救った英雄として描かれる、振れ幅の大きい神です。
雲南市に伝わる須佐之男命ゆかりの地
私たちの拠点である雲南市大東町には、須佐之男命が八岐大蛇を退治した後、櫛名田比売と初めて宮を構えたと伝わる須我神社があります。「日本初之宮」と呼ばれ、境内には須佐之男命が詠んだとされる日本最初の和歌「八雲立つ 出雲八重垣 妻ごみに 八重垣つくる その八重垣を」の碑も立っています。地名「須賀」は、大蛇退治のあと須佐之男命が「気分が清々(すがすが)しくなった」ことに由来するとも伝わります。
須佐之男命の子とされる五十猛神は、日本各地に木の種を植えた林業の神として知られ、詳しくは五十猛神まとめで解説しています。須佐之男命自身の魅力や祀る神社については須佐之男命まとめもご覧ください。
木花之佐久夜毘売(コノハナノサクヤヒメ)
- 概要: 桜の花の象徴であり、富士山を神格化した浅間神社のご祭神。烈火の中で出産した伝説から、強い母性の神とされます。
- 主なご利益: 安産祈願、子授け、火難除け、良縁成就
- 代表的な神社: 富士山本宮浅間大社(静岡県)、全国の浅間神社
猿田彦神(サルタヒコノカミ)
- 概要: ニニギノミコトが天から地上へ降り立つ際、道の先案内人を務めた神。物事を良い方向へ導く「みちひらき」の神として親しまれています。
- 主なご利益: 交通安全、開運招福、事業繁栄
- 代表的な神社: 猿田彦神社(三重県)、椿大神社(三重県)
高天原で活躍する主要な天津神の一覧
高天原で活躍する天津神たちは、天照大御神を中心に、知恵・力・芸能・武勇など様々な分野で力を発揮し、地上の出来事にも大きな影響を与えてきました。
知恵の神・思金神
思金神(おもいかねのかみ)は、天照大御神が天岩戸に隠れた際、神々を集めて相談し、鏡や勾玉を用意して賑やかな祭りを装い天照大御神の関心を引くという、緻密な作戦を立てた知恵の神です。詳しい神話や祀られている神社については思金神まとめもご覧ください。
力自慢の天手力男神
天手力男神(あめのたぢからおのかみ)は、天岩戸神話で他の神々と協力し、岩戸を力強く引き開けて世界に光を取り戻した力の神です。力比べや腕相撲の奉納行事を行う神社もあり、力と勇気を求める人々に親しまれています。ご利益や祀られている神社について詳しくは天手力男神まとめで解説しています。
芸能の女神・天宇受売命
天宇受売命(あめのうずめのみこと)は、天照大御神が天岩戸に隠れた際、岩戸の前で踊りを披露して他の神々を笑わせ、天照大御神の興味を引き出した芸能の女神です。この踊りは後に神楽の起源になったと伝えられ、出雲・石見・隠岐など島根県内に今も伝わる神楽文化のルーツともいわれています。詳しい神話やご利益は天鈿女命まとめ、島根の神楽については島根の神楽まとめで紹介しています。
葦原中国を平定した建御雷神
建御雷神(たけみかづちのかみ)は、天照大御神の命を受けて葦原中国(出雲)を平定し、大国主神に国を譲るよう説得した武神です。『日本書紀』の一書では、経津主神(ふつぬしのかみ)と共にこの国譲りにあたったとも伝えられます。建御雷神は鹿島神宮(茨城県)、経津主神は香取神宮(千葉県)に祀られ、ともに武運長久を願う参拝者を集めています。
稲穂を授かった天孫・邇邇芸命
邇邇芸命(ににぎのみこと)は、天照大御神の孫。高天原から葦原中国(地上)へ天孫降臨する際、豊穣を象徴する稲穂を授かりました。地上に降り立った際には、稲穂だけでなく八咫鏡・八尺瓊勾玉・天叢雲剣の三種の神器も伝えられたとされます。
地上を治めた国津神の代表的な神々の一覧
国津神は、天津神が高天原から降りてくる以前から地上に存在し、国土を開拓してきたとされる神々です。地域との結びつきが強く、大国主神をはじめとする出雲系の神々が代表格です。
出雲を築いた国造りの神・大国主神

大国主神(おおくにぬしのかみ)は、葦原中国(あしはらのなかつくに)を治めた国造りの神です。他の神々に騙され皮を剥がされた白兎を、真水と蒲の穂で助けた「因幡の白兎」の逸話が特に有名で、困っている者を見捨てない思いやりの神として描かれています。出雲大社に祀られ、縁結び・商売繁盛・病気平癒のご利益で広く信仰されています。
雲南市に残る出雲国風土記の記憶
雲南市加茂町の神原神社古墳からは、「景初三年」の銘が入った三角縁神獣鏡が出土しており、出雲と大和のつながりを物語る全国的にも貴重な遺跡として知られています。『出雲国風土記』には、大国主神(大穴持命)や神産巣日神の子とされる女神たちが、この雲南の地に数多く登場します。天甕津日女命・枳佐加比売命・宇武賀比売命・綾門比女命・真玉着玉之邑日女命・和加須世理比売命など、出雲・雲南ゆかりの女神たちの詳しい伝承は、女神一覧の記事でまとめています。
大国主神の子・事代主神(えびす様)
事代主神(ことしろぬしのかみ)は、大国主神の子で、国譲り神話では父に代わって国を譲る決断を下したとされる神です。「えびす様」と同一視され、商売繁盛や豊漁のご利益で親しまれています。島根県松江市の美保神社に祀られ、全国のえびす神社の総本社の一つとされています。詳しい神話やえびす信仰との関わりは事代主神まとめで解説しています。
医薬の祖神・少彦名神
少彦名神(すくなひこなのかみ)は、非常に小さな身体を持つとされる医薬の祖神です。大国主神と共に国造りを行い、医療・農業・酒造りの技術を人々に伝えたとされます。奈良県の大神神社が代表的な神社で、病気平癒や健康長寿を願う参拝者が多く訪れます。詳しい神話やご利益は少名毘古那神まとめで紹介しています。
山の神・大山津見神
大山津見神(おおやまつみのかみ)は、伊邪那岐命と伊邪那美命の国生みの際に生まれた、山々を司る神です。山岳信仰の中心として、山の恵みと安全を祈願する神社が全国に数多く存在します。
穀物の女神・大宜都比売神
大宜都比売神(おおげつひめのかみ)は、自らの体から粟や豆、稲などの食物を生み出したとされる穀物の女神です。稲作文化が根付く日本において、農業や収穫の豊穣を祈願する対象として、全国各地で信仰されています。
後世に信仰が全国へ広がった神々、神格化された人物たち
ここからは、上のBグループ(記紀にも記述はあるが、物語より信仰対象としての広がりの方が大きい神々)と、Cグループ(神格化された歴史上の人物)を、それぞれ詳しく紹介します。
武運と厄除けの守り神・八幡神(応神天皇)
八幡神は、実在した応神天皇と同一視される、武運と厄除けの守り神です。もともとは武士たちが戦勝を祈願する神でしたが、時代とともに厄除けや開運のご利益でも広く信仰されるようになりました。総本宮である福岡県の宇佐神宮には、今も多くの参拝者が訪れます。
五穀豊穣と商売繁盛を司る稲荷神(宇迦之御魂神)
稲荷神(宇迦之御魂神)は、農業や商業と結びつきが強い、五穀豊穣・商売繁盛の神です。稲荷神への信仰は平安時代にはすでに広がっており、江戸時代には「江戸の町に稲荷あり」と言われるほど各地に稲荷社が建てられました。狐が神使とされた理由やご利益の詳細は倉稲魂命まとめで解説しています。
ここからは、実在した人物が神格化されたCグループです。
学問成就のご利益で知られる天神・菅原道真
菅原道真は、平安時代の学者・政治家で、政治的な陰謀により太宰府へ左遷されました。死後、都で相次いだ落雷や疫病が道真の怨霊によるものと恐れられ、これを鎮めるために天神として祀られるようになったのが天神信仰の始まりです。太宰府天満宮・北野天満宮をはじめ、全国の天満宮には受験生や学問に励む人々が今も多く訪れます。生涯や信仰の広がりは菅原道真まとめで詳しく解説しています。
ここで紹介する市杵島姫命は、記紀神話に登場するAグループ(早見表ではすでに宗像三女神として紹介済み)ですが、弁財天との習合という後世の信仰の広がりも大きいため、ここでもあわせて解説します。
縁結びの女神・市杵島姫命(宗像三女神)
市杵島姫命(いちきしまひめのみこと)は、宗像三女神の一柱で、縁結びの女神として広く信仰されています。宗像大社の中津宮に祀られ、弁財天と同一視されることでも知られる、芸術・音楽の神でもあります。詳しいご利益は市寸島比売命まとめで紹介しています。
海の守護神・綿津見神と住吉三神
綿津見神は、海の底を統括する海の守護神です。誕生の経緯や山幸彦・海幸彦の物語との関わりは綿津見神まとめで詳しく解説しています。もう一柱、住吉大社に祀られる住吉三神(底筒男命・中筒男命・表筒男命)も、伊邪那岐命の禊から生まれた海の神で、航海安全を願う信仰を集めてきました。住吉三神と住吉大社の詳細は住吉三神まとめをご覧ください。
神話に登場する神々のご利益と参拝できる神社
ここでは、それぞれの神社が持つ背景やご利益について、代表的な4社を紹介します。
伊勢神宮に祀られる天照大御神
伊勢神宮(三重県伊勢市)は、内宮に天照大御神を祀る、全国の神社の中でも特に格式が高い神社です。皇室の祖先神を祀ることから、新年や式年遷宮の際には特に多くの参拝者で賑わいます。
出雲大社の縁結びと大国主神
出雲大社は、縁結びの神として知られる大国主神を祀ります。ご利益は縁結びだけでなく、家庭円満や商売繁盛にも及びます。毎年旧暦10月には全国の神々が出雲に集まる「神在祭」が行われ、縁結びの力がさらに強まるとされています。
熊野三山と素戔嗚尊のつながり
熊野三山(熊野本宮大社・熊野速玉大社・熊野那智大社、いずれも和歌山県)には、荒ぶる力を持ちながらも人々に恵みをもたらす神として素戔嗚尊が祀られています。古くから修験道の聖地としても知られ、修行者たちにとって重要な意味を持ってきました。
諏訪大社と建御名方神
諏訪大社(長野県)は、大国主神の子とされる建御名方神(たけみなかたのかみ)を主祭神とします。国譲りの際に高天原からの使者と力比べを行い、敗れて信濃の地に逃れたという伝説が、諏訪信仰の基礎となっています。上社本宮・上社前宮・下社秋宮・下社春宮の4つの宮から成り、五穀豊穣や家内安全を願う参拝者を集めています。
ここで紹介した神社以外にも、日本全国には神話ゆかりの神社が数多く存在します。地域別・ご利益別に神社をまとめた記事もあわせてご覧ください。
日本神話をより深く楽しむための豆知識
神様の数え方は「柱」が正しい
日本神話において、神々は「柱」という単位で数えます。柱は建物を支える重要な部材であることから、神々もまた世界の秩序を支える存在と考えられ、この数え方が使われるようになったとされています。「三柱の神」のように、古典文学でもしばしば用いられる表現です。
神仏習合と明治の神仏分離の歴史
神仏習合とは、6世紀の仏教伝来以降、神道と仏教が融合し、神社に仏像を安置したり神を仏の化身と見なしたりする信仰のあり方です。明治時代に入ると、政府は神道を国家の宗教と位置づけるため神仏分離令を発布し、神社から仏教的要素を排除しました。現代では、再び両者を共に敬う風潮も見られます。
皇室の祖先神とされる神々の系図
皇室の祖先神とされる神々の中心は、天照大御神です。その弟・須佐之男命の子孫は出雲の国造りを担った大国主神に繋がり、天照大御神の孫・邇邇芸命は天孫降臨を果たして地上に降り立ちます。邇邇芸命の子孫が、初代天皇とされる神武天皇です。この系譜は、皇室が神々とつながる存在であることを示すものとされています。
天照大御神から神武天皇までのより詳しい系図、須佐之男命系譜との関係は、日本神話の家系図をまとめた記事で図解しています。神武天皇についてさらに詳しくは神武天皇まとめもご覧ください。
日本神話の神様に関するよくある質問
日本神話の神様を一覧で知りたいときは、どう探せばいい?
本記事の分類別の一覧表、五十音順早見表、ご利益から探すリストの3つからお探しいただけます。名前が分かる場合は五十音順、願い事から探したい場合はご利益別が便利です。
日本神話には何柱(何項目)の神様がいる?
古事記や日本書紀に記録されている神々は、数百柱に及ぶといわれています。本記事では、そのうち代表的な神々を32項目に整理して一覧表にまとめています。なお「住吉三神」のように複数の柱を1項目としてまとめているものもあるため、項目数と柱数は必ずしも一致しません。
天津神と国津神の違いは?
天津神は、高天原(天界)にいる神々、または天から地上に降り立った神々です(例:天照大御神、邇邇芸命)。国津神は、地上に現れた神々です(例:大国主神。須佐之男命は高天原出身のため諸説あります)。地上を治めていた国津神が、天津神へ国を譲った物語が「国譲り」神話です。
三貴子とは誰のことですか?
伊邪那岐命が黄泉の国から戻り、禊(みそぎ)を行った際に生まれた、天照大御神・月読命・須佐之男命の3柱を指します。それぞれ太陽・夜(月)・海原(諸説あり)を司るとされ、記紀神話の中でも特に重要な神々です。
古事記と日本書紀は何が違うのですか?
古事記は712年に編纂され、神々の誕生から天皇の系譜までを神話として記録しています。日本書紀は720年に完成し、より歴史書としての性格が強く、同じ出来事でも複数の伝承を併記している場合があります。
えびす様と事代主神は同じ神様ですか?
同一視されています。事代主神は大国主神の子で、国譲り神話に登場する神ですが、後世の信仰では商売繁盛・豊漁の神「えびす様」と同一視されるようになりました。島根県の美保神社が、その信仰の中心地の一つです。
日本の神様の中で最も位が高いのは誰?
一般に、天照大御神(あまてらすおおみかみ)が最高神とされています。太陽を司る神であり、高天原を統治し、皇室の祖先神とされることから、特に重要な存在とされています。
日本神話の神様には、どんな種類がありますか?
大きく3つに分けられます。①『古事記』『日本書紀』の物語本文に登場する神々(別天津神・神世七代・三貴子・天津神・国津神など)、②記紀にも記述はあるものの、後世に稲荷信仰・住吉信仰のように独立した信仰対象として全国に広まった神々、③菅原道真のように実在した人物が没後に神格化された存在、あるいは神武天皇のように神代と人代をつなぐ存在です。詳しくは分類別の一覧表で解説しています。
神様同士の関係(親子・夫婦など)を知るにはどうすればいいですか?
天照大御神系譜・須佐之男命系譜など、神様同士のつながりを図解した家系図の記事をご覧ください。「この神様は誰の子?」といった疑問に、系図の形で答えています。
出雲・雲南で出会える神話の神々(現地ガイド)
掲載した神々のうち、島根県雲南市・出雲市にゆかりの神社がある神様を「現地取材記事」とあわせてまとめました。神話のあらすじは上の一覧表、実際に足を運ぶなら下のガイドからどうぞ。
| 神様 | ご利益・テーマ | 現地の神社・関連ガイド |
|---|---|---|
| 木俣神(御井神) | 安産・子育て・水の守護 | 御井神社の参拝ガイド(雲南市木次町) |
| 天甕津日女命 | 夫婦円満・縁結び | 伊努神社と夫婦神の伝承(雲南市木次町) |
| スサノオ | 厄除・学問(ヤマタノオロチ退治) | 出雲神話の物語と舞台/石見神楽で描かれる大蛇 |
| 神話の舞台を巡る | 神楽観劇・現地ツーリング | 島根の神楽4形式の違い/石見神楽の定期公演8会場 |
▶ 神話の家系図(相関図)で全体を掴みたい方は【保存版】日本神話の家系図へ。
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まとめ:日本神話の神々とその役割を理解する
本記事では、記紀神話に登場する神々(Aグループ)、後世に信仰が全国へ広がった神々(Bグループ)、神格化された歴史上の人物(Cグループ)に分けて、代表的な神々を32項目の一覧にまとめました。
気になる神様が見つかったら、五十音順早見表やご利益別の分類から関連する神様を探したり、個別記事でさらに詳しい神話やご利益、ゆかりの神社を確認したりしてみてください。神様同士のつながりが気になる方は、家系図の記事もあわせてご覧ください。



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