この記事を書いている人・現場取材実績
著者:中村 悠(Next Z-one 代表)
神話の故郷である島根県雲南市・出雲地域を拠点に、日本神話の系譜整理およびデジタル映像化プロジェクトを主宰。斐伊川流域をはじめとする出雲・雲南の神話伝承地や古社(50箇所以上)を直接取材・フィールドワークし、原典(古事記・日本書紀)と現地伝承を照らし合わせた解説コンテンツを発信しています。
※本記事の系譜図は、國學院大學等の古典文化学研究資料および現地神社での取材・確認結果をベースに制作・検証を行っています。
日本神話の家系図を理解するときは、まず「天照大御神から神武天皇へつながる系譜」と「須佐之男命から大国主命へつながる系譜」という、2つの大きな流れに注目すると全体像をつかみやすくなります。この記事では、この2本の幹を軸に、天地開闢から神武天皇までの流れを、文章だけでなくテキスト形式の家系図でもたどれるように整理しました。
『古事記』『日本書紀』を基準に、系譜が分岐するポイントは、できるだけ原典の記述が分かる形で整理しています。
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スマホで拡大して見られる保存用の高画質家系図です。「天照大御神(皇室の系譜)」と「須佐之男命(出雲の系譜)」の2大ルートを色分けして整理しています。
この記事を書いているのは
この記事は島根県雲南市を拠点とするNext Z-oneが制作しています。出雲・雲南に残る神話ゆかりの地を実際に訪ねながら、日本神話の系譜や物語を整理しています。家系図を整理する中で得た系譜の知見も、本記事の制作に活かしています。
目次
- 日本神話の家系図とは?神々のつながりを一目で理解
- 【テキスト版】日本神話の全体家系図を一気に見る
- 日本神話の始まり|天地開闢と最初に現れた神々
- 三貴子の誕生|天照大御神・月読命・須佐之男命の関係
- 天照大御神の系譜|皇室へとつながる天孫の流れ
- 須佐之男命の系譜|出雲神話と大国主命の登場
- 2つの系譜が交わる場所|国譲り神話
- 日本神話に登場する主要な女神たちの家系図
- 日本神話の家系図をわかりやすく覚えるコツ
- 日本神話と天皇家|家系図で辿る神々と皇室のつながり
- 古事記と日本書紀で家系図はどう違う?
- 日本神話の家系図に関するよくある質問
- この後に読みたい記事|あなたに合った次の1本
- 出典・参考文献
- まとめ:家系図の2本の幹を覚えれば、日本神話はもう迷わない
日本神話の家系図とは?神々のつながりを一目で理解
日本神話の家系図とは、『古事記』『日本書紀』に登場する神々の親子・兄弟・婚姻関係を1本の系図にまとめたものです。数百柱ともいわれる神々を一柱ずつ覚えるのは大変ですが、家系図で見ると「誰の子で、誰と結ばれ、誰につながるのか」が一目で整理できます。
特に重要なのは、天照大御神(アマテラス)の系譜が現在の天皇家に、須佐之男命(スサノオ)の系譜が出雲・大国主命の国づくりにつながっている点です。この2つの流れを押さえるだけで、日本神話全体の骨格が見えてきます。
古事記・日本書紀に描かれる神々の系譜
家系図のもとになっているのは、712年に成立した『古事記』と、720年に成立した『日本書紀』です。古事記は神話部分に重点を置いて系譜を詳しく描き、日本書紀は本文に加えて「一書(あるぶみ)」と呼ばれる異伝を多数併記しているのが特徴です。そのため、同じ神様同士の関係でも、書物によって世代数や表記が異なることがあります(違いの一覧は古事記と日本書紀の比較表で後述します)。
家系図で読み解くと日本神話がわかりやすい理由
文章だけで神話を読むと、似た名前の神様が次々に登場して混乱しがちです。家系図という「地図」を先に頭に入れておくと、個別のエピソード(ヤマタノオロチ退治や国譲りなど)を読んだときに「この人は誰の子だったか」がすぐ思い出せるようになります。次の章で、まず全体像をテキストで一気に確認しましょう。
【テキスト版】日本神話の全体家系図を一気に見る
画像の家系図と合わせて、文字でも保存・コピーできるように系図を用意しました。矢印は「親から子(または譲位)」への流れを表しています。
【全体の流れ】系統別テキスト家系図
- 別天津神(五柱)
- 神世七代 … 伊邪那岐命(イザナギ)× 伊邪那美命(イザナミ)
└ 国生み・神生み(イザナミは黄泉の国へ)後、イザナギの禊(みそぎ)で「三貴子」が誕生
-
皇室へつながる系譜
天照大御神(アマテラス) ─ 高天原を治める太陽神- 正勝吾勝勝速日天忍穂耳命(オシホミミ)
- 邇邇芸命(ニニギ) … 天孫降臨
- 火遠理命(ホオリ/山幸彦)× 豊玉毘売命
- 鵜葺草葺不合命(ウガヤフキアエズ)× 玉依毘売命
- 神日本磐余彦命(初代・神武天皇)
※万世一系で現代の皇室へ
- 神日本磐余彦命(初代・神武天皇)
- 鵜葺草葺不合命(ウガヤフキアエズ)× 玉依毘売命
- 火遠理命(ホオリ/山幸彦)× 豊玉毘売命
- 邇邇芸命(ニニギ) … 天孫降臨
- 正勝吾勝勝速日天忍穂耳命(オシホミミ)
- 月読命(ツクヨミ) ─ 夜と月を治める神
-
出雲・国造りへつながる系譜
須佐之男命(スサノオ) ─ 海原を治める神- (六世の孫)大国主命(オオクニヌシ) ─ 出雲の国づくり
- 事代主神(コトシロヌシ)
- 建御名方神(タケミナカタ)
- 阿遅鉏高日子根神(迦毛大御神)
- 下照比売命(シタテルヒメ)
- (六世の孫)大国主命(オオクニヌシ) ─ 出雲の国づくり
-
皇室へつながる系譜
- 神世七代 … 伊邪那岐命(イザナギ)× 伊邪那美命(イザナミ)
建御雷神(タケミカヅチ)の交渉により、大国主命から天孫(ニニギ)へ地上の統治権が譲られます。
※系図は古事記の記述を基本とし、わかりやすさのため一部の神々(宗像三女神など誓約で生まれた神々)を省略しています。正確な世代数の根拠は古事記と日本書紀の比較表で解説しています。
日本神話の始まり|天地開闢と最初に現れた神々

日本神話は、天地がまだ混沌としていた時代、「天地開闢(てんちかいびゃく)」と呼ばれる世界の始まりから幕を開けます。ここで最初に現れたのが、あらゆる神々の起点となる別天津神(ことあまつかみ)です。
別天津神(ことあまつかみ)五柱の誕生
別天津神は、天之御中主神(あめのみなかぬしのかみ)・高御産巣日神(たかみむすびのかみ)・神産巣日神(かみむすびのかみ)・宇摩志阿斯訶備比古遅神(うましあしかびひこぢのかみ)・天之常立神(あめのとこたちのかみ)の五柱です。いずれも性別を持たない独り神として現れ、姿を隠したとされています。
神世七代(かみのよななよ)へと続く系譜
別天津神に続いて現れるのが神世七代です。この最後の一代として登場するのが、伊邪那岐命(イザナギ)と伊邪那美命(イザナミ)の夫婦神です。国生み・神生みを行い、日本神話における「最初の親」となります。
イザナギ・イザナミによる国生みと神生み
イザナギとイザナミは天の浮橋から矛で海をかき混ぜ、滴り落ちた雫からオノゴロ島を作りました。そこで結婚し、日本の島々と多くの神々を生み出します。しかし、火の神を生んだイザナミは大火傷を負って命を落とし、黄泉の国へ旅立ちます。イザナギは彼女を追いますが再会は叶わず、地上へ戻ったあとに行った禊(みそぎ)から、次章の「三貴子」が誕生します。
三貴子の誕生|天照大御神・月読命・須佐之男命の関係
三貴子(さんきし)とは、イザナギの禊から生まれた天照大御神・月読命・須佐之男命の三柱を指します。天照大御神は左目、月読命は右目、須佐之男命は鼻を洗った際に生まれ、それぞれ太陽・月・海原(または嵐)を治めるよう命じられました。この三柱こそが、以降の家系図の2本の幹(皇室へつながる系譜と出雲へつながる系譜)の出発点です。
| 神様 | 生まれた部位 | 役割 | 系図上の位置づけ |
|---|---|---|---|
| 天照大御神 | 左目 | 高天原(太陽)を統治 | 皇室へつながる系譜の起点 |
| 月読命 | 右目 | 夜と月を統治 | 神話上の記述が少なく系譜も分岐なし |
| 須佐之男命 | 鼻 | 海原(または根の国)を統治 | 出雲・大国主命へつながる系譜の起点 |
アマテラス(天照大御神)|太陽を司る最高神
天照大御神(アマテラス)は、高天原を治める太陽神であり、皇室の祖神とされる存在です。弟・須佐之男命の乱暴に怒って天岩戸に隠れ、世界が闇に包まれたという神話は特に有名です。
ツクヨミ(月読命)|夜と月を治める神
月読命(ツクヨミ)は夜と月を治める神です。三貴子の一柱でありながら、『古事記』にはこれ以上の活躍がほとんど記されておらず、家系図上も子孫の記述がありません。「なぜ記述が少ないのか」自体が、日本神話ファンの間でもしばしば話題になる謎の一つです。
スサノオ(須佐之男命)|海と嵐を支配する神
須佐之男命(スサノオ)は海原を治める神とされましたが、母イザナミを慕って泣き続けたため高天原を追放され、出雲でヤマタノオロチを退治してクシナダヒメを救う英雄となります。この出雲での物語が、もう一つの家系図の幹「須佐之男命の系譜」につながっていきます。
天照大御神の系譜|皇室へとつながる天孫の流れ

天照大御神の系譜は、子の天忍穂耳命(オシホミミ)、孫の邇邇芸命(ニニギ)へと受け継がれ、やがて地上へ降り立つ「天孫降臨」を経て神武天皇へとつながります。この一続きの系譜が、現在の皇室にまで至る「万世一系」の神話的な根拠です。
少し詳しく:実はオシホミミは、アマテラスとスサノオが天安河で行った「誓約(うけい)」の際、スサノオがアマテラスの玉を受け取って生まれた神とされています。そのためアマテラスの実子というより「誓約の際、天照大御神の勾玉を用いて生まれた男神」という扱いです。この誓約からはオシホミミを含む五柱の男神と、宗像三女神と呼ばれる三柱の女神も同時に生まれています。系図をシンプルにするため、この記事の全体図では省略しています。
アメノオシホミミからニニギノミコトへの継承
アメノオシホミミは地上統治を任されますが、自らは降臨せず、その役目を子のニニギノミコトに譲ります。この「親ではなく孫が地上に降りる」という点が、天皇家の系譜を考えるうえで見落とされがちなポイントです。
天孫降臨と日向三代の物語
ニニギノミコトが高天原から葦原中国(地上)に降り立ったのが「天孫降臨」です。その後、ホオリノミコト(山幸彦)、ウガヤフキアエズノミコトと続く3世代は「日向三代(ひむかさんだい)」と呼ばれ、最後のウガヤフキアエズの子が初代・神武天皇となります。
神武天皇へとつながる初代天皇の系譜
神武天皇は、九州から大和へと進軍し、初代天皇として即位したと伝えられます。天照大御神からニニギ・ホオリ・ウガヤフキアエズを経て神武天皇に至るこの一続きの系譜が、皇室の神話的な起源として現代まで語り継がれています。 ただし、神話上の系譜と歴史的に確認できる系譜は分けて考える必要があります。
須佐之男命の系譜|出雲神話と大国主命の登場
もう一つの幹が、須佐之男命から出雲・大国主命へと続く系譜です。『古事記』では、大国主命は須佐之男命から数えて「六世の孫」にあたると系譜が明記されています(『日本書紀』本文では実の「子」とする異伝もあり、書物によって世代数が異なります)。
📍 なお、ヤマタノオロチ退治の舞台とされる斐伊川は、現在の島根県雲南市周辺を流れる川です。史実として確認されたものではなく地域に残る伝承ですが、実際に川の風景を眺めながら神話を思い描くと、また違った味わいがあります。
ヤマタノオロチ退治とクシナダヒメとの結婚
出雲に降り立った須佐之男命は、8つの頭を持つ大蛇ヤマタノオロチに毎年娘を差し出していた老夫婦と出会います。最後に残った娘・クシナダヒメを救うため、酒でオロチを酔わせて退治し、二人は結ばれました。この退治の際、オロチの尾から現れたのが三種の神器の一つ・草薙剣です。
オオクニヌシ(大国主命)による国造り神話
大国主命(オオクニヌシ)は、須佐之男命の六世の孫にあたり、出雲を中心に国づくりを進めた神です。根の堅州国で須佐之男命から与えられた数々の試練を乗り越え、須佐之男命の娘・須勢理毘売命を妻に迎え、国づくりの力を託されました。
大国主命の子どもたち|出雲系の神々の広がり
大国主命には多くの妻と子がいたと伝えられ、その子孫は日本各地の神社に祀られています。代表的な子は以下の通りです。
- 事代主神(コトシロヌシ):国譲りに応じ、後にえびす様と同一視される
- 建御名方神(タケミナカタ):国譲りに抵抗し、諏訪の地へ移った
- 阿遅鉏高日子根神(迦毛大御神):宗像三女神の一柱・多紀理毘売命との子
- 下照比売命(シタテルヒメ):阿遅鉏高日子根神の妹神
因幡の白兎に登場する神々の関係性
因幡の白兎は、大国主命の優しさが描かれる有名なエピソードです。兄弟神たちに酷い目に遭わされた白兎を助けたことがきっかけとなり、大国主命は八上比売との結婚を果たし、その後の国づくりへとつながっていきます。
2つの系譜が交わる場所|国譲り神話
家系図の2本の幹(アマテラス系・スサノオ系)は、まったく交わらないまま並走するわけではありません。この両者をつなぎ、日本の統治権が引き継がれる最大のハイライトが「国譲り神話」です。
【図解】国譲り〜天孫降臨の相関フロー
天照大御神(アマテラス)
「地上(葦原中国)は我が子(天孫)が治めるべき地である」と宣言
大国主命(オオクニヌシ)
国譲りを承諾。条件として「出雲大社(壮大な宮殿)」の造営を要求して隠退
邇邇芸命(ニニギノミコト)
三種の神器を携えて九州・高千穂峰へ降臨 ➔ 後の初代・神武天皇へ
天照大御神は、地上を治めていた大国主命に対し、国を譲るよう使者を送ります。最初の使者たちは大国主命側に取り込まれてしまいますが、最終的に建御雷神(タケミカヅチ)が遣わされ、大国主命の子・建御名方神を力で服従させたことで、大国主命は国を譲ることに同意しました。その見返りとして、大国主命を祀る壮大な宮殿(出雲大社の起源)が建てられます。
この国譲りによって地上の支配権がアマテラス系に移り、その孫であるニニギノミコトの天孫降臨が実現します。「スサノオ系が切り開いた地上を、アマテラス系が引き継ぐ」という構図こそが、日本神話の家系図全体を貫く一番大きなストーリーです。
日本神話に登場する主要な女神たちの家系図
男神たちの系譜に隠れがちですが、女神たちの系図も皇室や出雲の系譜に深く関わっています。ここでは代表的な4柱を紹介します。
コノハナサクヤヒメとイワナガヒメ姉妹の物語
コノハナサクヤヒメは山の神オオヤマツミの娘で、天孫ニニギノミコトの妻です。結婚の際、父オオヤマツミは長寿を象徴する姉・イワナガヒメも共に嫁がせようとしましたが、ニニギノミコトはこれを拒みました。この選択が、天皇を含む人間の寿命が神々より短くなった理由と伝えられています。
トヨタマヒメとタマヨリヒメの海神一族
トヨタマヒメは海神ワタツミの娘で、山幸彦(ホオリノミコト)の妻となりウガヤフキアエズを産みます。妹のタマヨリヒメはその養母となり、のちに自らもウガヤフキアエズと結ばれて神武天皇を含む子を儲けました。海神一族でありながら皇室の系譜にも連なる、家系図上の重要な橋渡し役です。
アメノウズメと猿女君の系譜
アメノウズメは、天岩戸神話で踊りを披露しアマテラスを外へ導いた女神です。その子孫は猿女君(さるめのきみ)として、代々宮廷の神事に携わったと伝えられています。
日本神話の家系図をわかりやすく覚えるコツ

3つの世代に分けて整理する方法
①天地開闢〜神世七代(世界と最初の神々の誕生)、②三貴子〜国譲り(アマテラス・スサノオの活躍と2系統の分岐)、③天孫降臨〜神武天皇(日向三代と皇室の成立)の3つに分けると、数百柱の神々も整理しやすくなります。
神話の舞台(高天原・葦原中国・黄泉の国)で分類する

神々が住む天上の「高天原」、人間も住む地上の「葦原中国」、死者の国「黄泉の国」という3つの舞台で分類すると、どの神様がどこで活躍したのかが整理しやすくなります。須佐之男命とその子孫は主に葦原中国(出雲)、天照大御神とその子孫は高天原から葦原中国へ、という大まかな住み分けを意識すると覚えやすくなります。
神社ごとに祀られている神様と結びつけて覚える
伊勢神宮は天照大御神、出雲大社は大国主命というように、実際の神社と結びつけて覚えると記憶に残りやすくなります。神社を訪れる機会があれば、その神様が家系図のどこに位置するのかを思い出してみてください。
日本神話と天皇家|家系図で辿る神々と皇室のつながり
天皇家の系譜は、神話上は天照大御神を起点とし、天孫降臨で地上に降りたニニギノミコトの子孫として、神武天皇から現在まで続く「万世一系」とされています。
神武天皇から現代の天皇へと続く万世一系
神武天皇は、天孫降臨から日向三代を経て即位した、記紀の上での初代天皇です。以後、一つの家系として現代まで続いているとされる点が、皇室が神話と深く結びついている理由です。
神話に由来する三種の神器の伝承
草薙剣(くさなぎのつるぎ)・八咫鏡(やたのかがみ)・八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)の三種の神器は、天照大御神がニニギノミコトに授けたとされ、皇位の象徴として現代まで受け継がれています。草薙剣は須佐之男命がヤマタノオロチ退治で得た剣であり、家系図の2本の幹(アマテラス系・スサノオ系)が、この宝物を通じてもつながっていることがわかります。
三種の神器について詳しく知りたい方は「日本神話の神器18選」へ。古事記と日本書紀で家系図はどう違う?
「日本神話 家系図」で調べていると、サイトによって世代数や表記が違うことに気づく方も多いはずです。これは、参照している文献が『古事記』か『日本書紀』か、あるいは日本書紀のどの「一書(異伝)」かで違いが生じるためです。代表的な違いを一覧にしました。
| 比較項目 | 古事記 | 日本書紀(本文・異伝) |
|---|---|---|
| 成立 | 712年 | 720年 |
| 編集方針 | 神話・系譜を詳しく記述 | 本文に加え多数の「一書」を併記 |
| 須佐之男命と大国主命 | 六世の孫と明記 | 本文は「子」。一書では五世・六世・七世の孫など諸説 |
| 食物神殺害の話 | 須佐之男命が大気都比売神を斬る | 異伝では月読命が保食神を斬る、ほぼ同型の説話 |
| 須佐之男命の降臨地 | 出雲・肥河上流の鳥髪 | 異伝では朝鮮半島の曽尸茂梨を経て出雲へ、とする説あり |
どちらが「正しい」というものではなく、古代においても複数の伝承が並存していたことの表れです。この記事では、より広く知られている古事記の系譜を基本の軸としています。
日本神話の家系図に関するよくある質問
日本神話に登場する神様は全部で何柱いますか?
正確な数は把握しづらいものの、古事記や日本書紀に記されている神々を合わせると数百柱に及ぶといわれています。天地開闢の別天津神・神世七代から、イザナギとイザナミの神生みで誕生した神々まで、数多くの神が登場します。
古事記と日本書紀では家系図に違いがありますか?
あります。特に大国主命が須佐之男命から数えて何世代目かという点で、古事記は「六世の孫」、日本書紀は本文で「子」、異伝では「五世・六世・七世の孫」と、書物・伝承によって記述が異なります。詳しくは本文の比較表をご覧ください。
須佐之男命は大国主命の何世代前にあたりますか?
古事記では「六世の孫」、つまり須佐之男命から数えて6世代あとの子孫が大国主命とされています。ただし日本書紀の本文では実の父子とする伝承もあり、系譜が一定していない点には注意が必要です。
天皇は本当に神様の子孫なのですか?
これは神話上の系譜であり、歴史的事実として証明されたものではありません。『古事記』『日本書紀』は、天照大御神から神武天皇へと続く系譜を通じて皇室の正統性を示す目的で編纂されたと考えられており、信仰・伝承としての系譜と、考古学的に確認できる史実とは分けて理解する必要があります。
日本神話の家系図を初めて見る場合、どこから覚えればいいですか?
まず「三貴子」(天照大御神・月読命・須佐之男命)から覚えるのがおすすめです。そこから、天照大御神の系譜(皇室へつながる流れ)と須佐之男命の系譜(出雲・大国主命へつながる流れ)という2つの大きな流れに分けて追っていくと、複雑に見える家系図も着実に整理できます。
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出典・参考文献
本記事の作成にあたり、以下の信頼性の高い原典、現代語訳、および研究資料を参考にしています。
- 『古事記』(和銅5年〔712年〕編纂)
- 『日本書紀』(養老4年〔720年〕成立)
- 三浦佑之 訳『口語訳 古事記 神代篇・人代篇』文春文庫
- 宇治谷孟 訳『日本書紀 全現代語訳(上・下)』講談社学術文庫
- 中村啓信 著『新版 古事記 現代語訳付き』角川ソフィア文庫
- 大林太良 著『神話学入門』中公新書
- 國學院大學 古典文化学事業「古事記チャンネル」
まとめ:家系図の2本の幹を覚えれば、日本神話はもう迷わない
日本神話の家系図は、①天照大御神から神武天皇へと続く「皇室の幹」と、②須佐之男命から大国主命へと続く「出雲の幹」の2本を押さえ、それが国譲り神話でつながることを理解すれば、全体像は驚くほどシンプルに整理できます。
この記事のテキスト家系図・画像はぜひ保存してお使いください。そのうえで、気になった神様の記事へ進み、家系図というパズルの1ピースずつを物語として味わってみてください。



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