神在月とは?2026年はいつ?出雲に神様が集まる7日間の流れと、神迎神事のコツ

稲佐の浜で執り行われる神迎神事の様子。夜の浜辺に篝火が焚かれ、幻想的な雰囲気に包まれている 神社ガイド

結論から言うと、神在月(かみありづき)は、出雲地方での「旧暦10月」の呼び名です。全国では「神無月」と呼ぶ月を、出雲だけは「神様がいる月」と呼びます。全国の神様が、出雲大社に集まるからです。

2026年は、11月18日(水)の夕刻、稲佐の浜での神迎神事で神様をお迎えし、11月25日(水)の神等去出祭でお見送りします。

埼玉県からUターンで帰ってきて雲南市で暮らしていると、11月の足音が近づくにつれて、地元の商店街の会話や耳に入る噂話の中に「そろそろ神在月だね」という言葉が自然に混じってくる。出雲大社へ向かう車が増え、冷え込む空気に少しだけ神聖な緊張感が混ざるこの季節の空気感が、私は嫌いじゃない。

神様がいなくなる月ではなく、いちばん神様が集まる月。その会議の議題は、もしかするとあなたのご縁かもしれません。

先に知っておきたい3つのこと

  • 神迎神事は、稲佐の浜で参列できます(出雲大社の案内)。ただし2026年の交通規制は検討中です。
  • 縁結大祭の参列申込は、11月23日・25日ともに定員に達しています。
  • 日付は旧暦で決まるので、毎年変わります。2025年の神迎神事は11月29日でした。

神在月とは?神無月との違い

神在月に神々が宿泊すると伝えられる出雲大社の十九社。夜の境内が温かい灯りに包まれている

どちらも指しているのは同じ時期、旧暦の10月です。違うのは、神様が「いない」と見るか「いる」と見るか。

  • 神無月:全国的な呼び名。神様が出雲へ出かけ、地元にいなくなる月
  • 神在月:出雲地方の呼び名。全国の神様が出雲に集まる月

出雲大社は、この呼び名を次のように説明しています。全国の神々が、目に見えない「神事(かみごと)」を司る大国主大神のもとに集まり、人々の「しあわせ」の御縁を結ぶ会議「神議(かみはかり)」を行う。この故事が由来で、出雲では神様がお集まりになる月として「神在月」と呼んでいる、という説明です。

ちなみに「神無月」の語源は、ひとつに決まっていません。「無」は「の」を表す言葉で、もともとは「神の月」の意味だったという説もあります。

なぜ、出雲に集まるの?

理由は、大国主大神が国を譲り、目に見えない世界を治めることになった「国譲り」の物語にあります。この物語は長くなるので、出雲神話とは?物語と舞台を地図で解説にまとめました。ここでは「縁を預かる神様が出雲にいるから、神様たちが相談に集まる」と覚えておけば十分です。

大国主の特集記事はこちら

日付が毎年変わるのは、旧暦だから

旧暦は月の満ち欠けを基準にした暦で、いまの暦とは1年で約11日ずれます。神様が海から上陸する神迎神事は、旧暦10月10日の夕方。2025年は11月29日でしたが、2026年は11日ほど早い11月18日です。去年の日付で予定を立てないよう、気をつけてください。

2026年の日程一覧

出雲大社の公式案内(令和8年神在祭)をもとにまとめました。神在月の期間は、令和8年11月18日夕刻から11月25日夕刻までです。

日にち 行事 時間・場所 一般の人は
11/18(水) 神迎神事・神迎祭 夕刻/稲佐の浜→出雲大社の拝殿 浜で参列でき、出雲大社へのお供もできます
11/19(木) 神在祭 午前9時/御本殿 神事です。静かに参拝を
11/19(木) 龍蛇神講大祭 午前11時/出雲大社教神殿 「龍蛇神講」の講員の祭りです
11/19〜24 夜神楽祈祷 午後5時/神楽殿 御祈願の祭りです。詳細は神楽殿へ
11/23(月・祝) 献穀祭・神在祭・縁結大祭 午前10時 縁結大祭の参列申込は定員到達
11/25(水) 神在祭・縁結大祭 午前10時 縁結大祭の参列申込は定員到達
11/25(水) 神等去出祭 午後4時/拝殿 見学の可否は公式案内に記載なし。当日の案内に従いましょう

※神迎神事の時刻は、公式案内では「夕刻」とあります。例年は夜に行われてきたので、正確な時刻は出雲大社の祭日表で確認してください。
※日程や交通規制は変わることがあります。お出かけ前に出雲大社の公式案内で最新情報を確認してください(この記事の確認日:2026年10月20日)。

神在月の7日間を、物語として追う

日程表だけだと、ただの予定です。でも並べて眺めると、これは「迎える・話し合う・見送る」という、ひとつの物語になっています。

① 11月18日・神迎:海から神様がやってくる夜

旧暦10月10日の夕方。神様は海の向こうから、稲佐の浜に上陸するといわれています。浜では神職がかがり火を焚き、神様をお迎えします。

先頭を歩くのは「龍蛇神(りゅうじゃがみ)」。セグロウミヘビとされる、神様の使いです。龍蛇神に導かれた神々は、浜から約1km先の出雲大社へ。拝殿で、神迎祭がおこなわれます。

暗い浜に火が灯り、夜の海から神様を迎える。観光イベントというより、自分も「お迎えする側」に回るような時間です。

龍蛇神のように、神様のそばに仕える動物たちは、神使(神の使い)の記事で詳しく紹介しています。

② 11月19日〜25日・神在祭:人の縁を話し合う会議

出雲大社に着いた神様たちは、御本殿の東西にある「十九社(じゅうくしゃ)」に宿をとると伝えられています。そして会議「神議」が始まります。主宰するのは、大国主大神。会議の場となる上宮(仮の宮)では、日ごとにお祭りがおこなわれます。

議題の「縁」は、恋愛や結婚だけではありません。人と人とのつながり、仕事、暮らし。社会にあるさまざまな結びつきのことです。

神様たちが何を話し合っているのか。想像してみると、この期間の出雲大社が少し違って見えてきます。

③ 11月25日・神等去出祭:「お立ち〜!」の一声

会議が無事にまとまった11月25日、午後4時。拝殿で神等去出祭(からさでさい)がおこなわれます。神様は宿の十九社から拝殿へ移り、神職の「お立ち〜!」という声とともに出雲大社を発たれます。

ただ、神在月はここで終わりではありません。熊野大社と万九千神社では、12月4日まで神在祭が続きます(次の章で詳しく)。万九千神社は、神々の旅立ちの地ともいわれています。

神迎神事を見に行く前に

神在月に参拝したい島根の神社の風景。秋の深まる静寂な境内の佇まい

神在月の中で、一般の人がいちばん関われるのが11月18日の神迎神事です。行く前に、不安になりやすい点を先にまとめます。

  • 参列できます。稲佐の浜の斎場で参列でき、出雲大社へのお供(供奉)もできます。斎場の入口では、白い御幣が授与されます。
  • 座席はありません。観光イベントではなく神事なので、例年、立ったままの参列です。
  • 浜に敷かれた菰(こも)は踏まない。神様の通り道とされています。
  • 交通規制は検討中です。稲佐の浜から出雲大社までの道は、混雑による危険を避けるため、規制が検討されています。最新情報は公式案内で確認を。
  • 防寒はしっかり。11月の夜の海辺は、風が冷たくなります。
  • フラッシュ撮影は控えましょう。神事のさまたげになります。

神議の最中、というのが出雲の考え方です。大声や騒ぎは控えて、静かに過ごすのがいちばんのマナーです。

私が初めて稲佐の浜に立った夜、押し寄せる黒い海原の冷たさと、暗闇のなかで轟く波の音にまず圧倒された。観光客のざわめきがふっと消え、浜に篝火(かがり火)が赤々と灯された瞬間、肌を刺す11月の夜風のなかで、誰もが息を詰めて海の向こうを見つめた。あの時、ただ見物人としてそこにいたはずが、気づけば自分も「神様をお迎えする列」の一部として静かに震えていた——あの現実に引き戻されるような緊張感は、現地に立ってみなければ絶対に分からない感覚だった。

神在月に巡れる神社

神在祭をおこなうのは出雲大社だけではありません。出雲大社の公式案内では、県内の神在社として次の4社が紹介されています。期間がずれているので、組み合わせて巡ることもできます。

神社 場所 2026年の神在祭の期間
出雲大社 出雲市大社町 11/18夕刻〜11/25夕刻
朝山神社 出雲市朝山町 11/9〜11/18
日御碕神社 出雲市大社町日御碕 11/19〜11/25
熊野大社 松江市八雲町熊野 11/19〜12/4
万九千神社 出雲市斐川町併川 11/25〜12/4

この表で見ると、神様の動きがよく分かります。まず11月9日に朝山神社で神在祭が始まり、18日に出雲大社へ。出雲大社を発つ25日からは、万九千神社へと続き、12月4日まで。1か月近くかけて、神在月は進んでいきます。

熊野大社は、須佐之男命ゆかりの神社です。須佐之男命といえば、雲南市に伝わるヤマタノオロチの物語。ヤマタノオロチとは?雲南に残る退治伝説の舞台とあわせて読むと、旅の見え方が広がります。

各神社の参拝ガイドは、神社ガイドのカテゴリーにまとめていきます。

縁結大祭が満員でも、行く意味はあるのか

2026年の縁結大祭は、11月23日・25日とも、参列の申込が定員に達しました(出雲大社の公式案内)。「もう間に合わないのか」とがっかりした方もいると思います。

でも、出雲大社は公式案内の冒頭で、「出雲神在のお参りをお待ち申し上げます」と呼びかけています。縁結大祭に参列できなくても、神在月の出雲大社に足を運ぶ意味はなくなりません。

  • 神在祭の期間は、神様が実際にいらっしゃる、と考えられている時期です。参拝そのものが特別な時間になります。
  • 神楽殿では、11月19日〜24日の午後5時から「夜神楽祈祷」がおこなわれます。お問い合わせは神楽殿へ。
  • 神迎神事は、申込なしで参列できます。

混雑する日と、そうでない日があります。時間に余裕があるなら、神在祭の期間中の平日に、静かに参拝するのもおすすめです。

神様が「いない」側の話

神様が出雲に出かけている間、地元の神社は空っぽなのでしょうか。実は、そうではありません。

各地には、出雲へは行かずに地元にとどまり、お守りしてくれる「留守神(るすがみ)」がいると伝えられています。家や竈を守る荒神、恵比寿、大黒などが知られています。恵比寿様のお祭り「えびす講」が、神無月にあたる10月20日や11月20日ごろに行われるのは、そのためだといわれます。

「神無月に神社へ行ってもいいの?」と気になる方もいるかもしれません。神無月だから参拝を控えなければならない、という決まりがあるわけではありません。身近な神社へのお参りは、いつでも大切です。

コラム:ぜんざいは、神在祭から生まれた?

神在月の出雲では、神在祭で「神在餅(じんざいもち)」がふるまわれてきました。この「じんざい」が出雲の言葉で「ずんざい」となり、さらに「ぜんざい」になって京都に伝わった、という説があります。

出雲大社の参道で温かいぜんざいをいただく。神在月の寒い日には、ちょうどいい楽しみです。

雲南市から見る神在月

神在月の出雲というと、出雲大社が思い浮かびます。でも出雲地方には、出雲市や松江市のほか、雲南市も含まれています。

私たちが暮らす雲南市は、須佐之男命がヤマタノオロチを退治した、と伝わる神話の舞台です。出雲大社の主祭神である大国主大神は、須佐之男命の子孫にあたります。神在月に集まる神様の物語は、実はこの土地と、静かにつながっています。

雲南市では、神楽も身近な存在です。私は、木次チェリーロードの桜祭りで、西日登神楽の「大蛇」を観たことがあります。

木次チェリーロードの桜がまだ葉を落としきらない頃、あるいは初冬の冷たい雨が降る夜、地元の社中で響く和太鼓の地鳴りのような低音を聴いていると、神話の物語がただの古い教科書の文字ではなく、この斐伊川の流域に今も生きて息づいていることをまざまざと感じさせられる。西日登神楽の舞台で、頭上で牙をむく大蛇の生々しい熱気を間近にしたとき、「神様がこの土地に集まる」という言い伝えは、決して絵空事ではないのだと腑に落ちた。出雲大社の華やかな神在月の裏側には、こうした雲南の谷あいの集落で、日々の暮らしと祈りを絶やさずに守り続けてきた人々の営みがある。その地に暮らす者として、私はこれからも、この土地の温度を持った神話の風景を言葉に残していきたい。

神話の舞台の土地に暮らして、神楽でその物語に出会う。そんな雲南市から、出雲神話の魅力を伝えていきます。神話をAI映像で届けるプロジェクトも進めています(神話AI映像プロジェクト)。

神在月をもっと深く知る記事

この記事では、神在月に絞ってまとめました。もう少し深く知りたい方は、こちらもどうぞ。

よくある質問

Q1. 神在月はいつですか?2026年の日程は?

出雲大社では、2026年(令和8年)の神在月を11月18日夕刻から11月25日夕刻までと案内しています。11月18日夕刻に神迎神事、11月19日・23日・25日に神在祭、11月25日午後4時に神等去出祭がおこなわれます。旧暦で決まるため、日付は毎年変わります。

Q2. 神無月に神社へ参拝してもいいのですか?

神無月だから参拝を控えなければならない、という決まりがあるわけではありません。神様が出雲へ出かけている間も、地元には「留守神」と呼ばれる恵比寿・大黒・荒神などの神様がとどまり、お守りしてくださると伝えられています。

Q3. 神迎神事は誰でも見学できますか?

出雲大社は、稲佐の浜の斎場での参列と、出雲大社へのお供を案内しています。斎場入口で白い御幣が授与されます。観光イベントではなく神事なので、座席はなく、浜に敷かれた菰は踏まないようにします。2026年の交通規制は検討中のため、最新情報は出雲大社の公式案内で確認してください。

Q4. 縁結大祭に、今から申し込めますか?

2026年の縁結大祭は、11月23日・25日ともに参列の申込が定員に達しています。縁結大祭に参列できなくても、神在祭の期間に出雲大社を参拝することはできます。神楽殿では、11月19日〜24日の午後5時から夜神楽祈祷もおこなわれます。

Q5. 出雲大社以外で、神在祭をおこなう神社はありますか?

出雲大社の公式案内では、県内の神在社として、朝山神社(11月9日〜18日)、日御碕神社(11月19日〜25日)、熊野大社(11月19日〜12月4日)、万九千神社(11月25日〜12月4日)が紹介されています。

Q6. 神様たちは、会議で何を話し合うのですか?

出雲大社は、人々の「しあわせ」の御縁を結ぶ会議だと説明しています。ここでいう縁は、恋愛や結婚だけではなく、人と人、仕事、暮らしなど、さまざまなつながりのことです。来年の収穫についても話し合われる、という説明もあります。

参考文献・出典

最終更新:2026年10月20日(日程は出雲大社の公式案内に基づきます)

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